「あるビジネスマンの話」
寝る間も惜しむほど働く、 働きづめのビジネスマンがいた。 彼は、久しぶりに、 数日間の休みが取れたので、 南の島にバカンスに出かけた。 しかし、ビーチで のんびり寝そべっていても、 まったく、くつろげない。 仕事一筋で生きてきた彼は、 こうして休んでいることが、 無駄な時間を過ごしているように 思えてきてしまうのだ。 島の住民たちを見ていると、 ほとんど働く様子もなく、 毎日毎日、ビーチで 砂遊びをしていたり、 海で泳いでいたりしている。 彼は、次第にいらだちを募らせた。 「奴らは、なんて、怠け者なんだ。 遊んでばかりいるから、 貧しい暮らししかできないのだ」 彼はいたたまれなくなって、 島の住民に声をかけた。 「君たちはなぜ働こうとしないんだ」 住民の一人が、 首をかしげながら答えた。 「働けば何かいいことがあるのか?」 「お金が稼げるじゃないか。」 「お金で、何かいいことがあるのか?」 彼は、あきれ顔で言い放った。 「お金があれば、私のようにこうして、 南の島で、バカンスを楽しむこと だってできるじゃないか!」 -------------------------- 働いてストレスや疲れがなければ、 バカンスもいらないわけで… 最低限、食べるために働くのは 当然のこととしましょう。 しかし、その先で、自分としては、 何かを手に入れるために働いたとしても、 別の方法で、同じものを 楽に手に入れている人を見た時に、 自分が働いたことがムダだったぁ、 としか思えないような働き方だったら、 やっぱり、「違う」のでしょう。 他の人をうらやむことなく、 欲しいものを手に入れながらも、 自分の働き方自体にも満足する、 そんな人生でないと、 長い満足感はないように思います。 楽しむのはバカンスでなく、 人生そのものですからね。 そして、その人生の一部に、 仕事も勉強もあるわけです。 |